現役スタートアップ人事労務担当者が振り返る!リファラル採用制度の導入方法や注意点

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小林 眞理

こんにちは、株式会社KiteRa HRユニット統括の小林 眞理です。

弊社は2024年4月1日に創業5周年を迎え、従業員も100人を超えました。人事労務担当者の観点から、スタートアップとして培ってきた経験を共有したく、連載記事を企画しました。

第1回目のテーマは「リファラル採用制度」です。導入の方法や成果、社内でのPR活動などを振り返ります。​​「ゼロベースで制度を設計していく」「質問できる先輩社員がいない」という人事労務担当者のために、弊社の取組みが少しでもお役に立つことができれば幸いです。

導入開始までにやった5つのこと

①目的を明確にする

全社を巻き込んだ取組みを行うには社内の理解を得られることがマストです。リファラル採用を制度化するにあたり、まず着手したことは目的の整理です。

小林が考えた2つの目的

【1】採用生産性の向上
弊社に応募いただく段階で平均して3~4社同時に採用選考が進んでいるため、いかに早いタイミングでKiteRaで働く魅力を具体的に届けられるかがカギでした。リファラル採用は、応募前の段階から働く上で魅力に感じる点や課題感をダイレクトに社員の生の声を通して伝えられるため、下記のようなメリットがあります。

<応募者側>
・就労イメージがつきやすい
・弊社への意向度が高まった状態から採用選考スタートできる
・結果として、内定承諾率が高くなる傾向がある

<会社側>
・エージェント経由に比べて採用コストが低くなる

【2】紹介したくなる職場づくり
「自分自身がKiteRaで働く魅力を感じていないと、そもそも紹介しようとは思わないはず」
「自分の言葉で自社の魅力を語るうちにエンゲージメントも自然と高まり、もっと良い会社にしていこう!という意識が社員にも芽生えるのでは」

上記のようなことを、当時の私は考えていたと思います。リファラル採用を通して、より良い職場をつくっていこうということも決意しました。

②ルールをつくる

報奨金額や報奨金支給日、採用活動のための食事代補助費などをHRのメンバーとミーティングを重ね、決めました。報奨金の金額はいくらにするのがいいか、については特に悩みました。人事労務担当者の書いたnoteや社労士事務所のサイトをみたり、他社の人事労務担当者にインタビューしたり、HRメンバーの前職事例を参考にしたり・・・。懐かしい思い出です。結局、「正解はないので、一旦これでやってみよう」と背伸びせず、今のKiteRaに最適と思われる下記の内容でルールを作りました。

【報奨金額】

対象正社員限定正社員契約社員
紹介者20万円20万円10万円
入社者5万円5万円3万円

【報奨金支給日】

入社日支給タイミング支給例
第一営業日入社者の試用期間が終了した月の翌月25日4/1入社→7/25支給
月中入社入社者の試用期間が終了した月の翌月25日4/20入社→8/25支給

【食事代補助】

制度内容利用可能時期金額
リファラルごはん制度紹介いただく方との会食費用を補助する制度
選考開始前
食事代補助は1人当たり3,000円を限度
これよろごはん制度紹介いただいた方が選考で採用に至らなかった場合、その方との会食費用を補助する制度選考終了後選考開始後同上

ルールを作る際の注意点

社会保険上、報奨金の取り扱いには注意が必要です。

会社が恩恵的に支給する一時金や表彰金は、社会保険料の算定基礎となる「賞与」に含めないとされていますが、名称を問わず、労働の対償として支払われるものは対象となります。弊社で支給するリファラル採用にかかる報奨金は「賞与」に含まれるものとして、課税対象、社会保険料対象となるため、支給の際に源泉所得税および社会保険料の控除が必要となりました。

ワンポイント
不明な場合は、管轄年金事務所へご確認いただくことをお勧めします。支給対象となる人には、報奨金が満額振り込まれるわけではないことを予め理解いただく必要があるでしょう。なお、社会保険料についての賞与特有のルールについては、下記の記事もご参考ください。
(関連記事)賞与から徴収する社会保険料の計算方法は?賞与特有のルール方法や必要な手続について解説

③ルールを記載する

「規程」に制度の骨子を、「内規」に細かな運用ルールをまとめていきました(表1)。
規程整備の際、現行の社内制度に照らしてどこに該当するかを確認することが重要です。報奨金の支給は賃金規程に、食事代補助は社内コミュニケーション施策管理規程に、それぞれ記載していきました。(表2)

(表1)

ルールどこに概要詳細
規程規程管理クラウドKiteRa「賃金規程」制度の骨子• 報奨金の支給目的• 報奨金の支給対象
内規Notion制度全体の細かな運用ルール• 対象となる求人• 報奨金支給のルール• 食事代補助のルール• 選考フロー• 問合せ窓口

(表2)

該当する規程対応
報奨金の支給賃金規程賞与の位置づけで、新たにルール追記
食事代補助新たにルール追記社内コミュニケーション施策管理規程既存の規定に該当するため、改定不要 ※運用ルールとして内規に追記

ワンポイント
賃金規程の改定の際、規程マネジメントシステムKiteRa(下記画像)があって良かったポイントをお伝えします。条文追加による条番号のズレが生じない、ということでした。今回の改定では、賃金規程に条文を追加する必要がありましたが、 KiteRaを使うことで、条文追加後、次条以降の番号が自動補正されるためラクチンでした!

④ワークフローを活用する

弊社には社内コミュニケーション活性化のため食事代を補助する制度がありました。

「リファラル採用でこの制度を活用しない手はない!」ということで、 既存の食事代補助の申請ワークフローに「リファラル採用で紹介いただく方との会食費用の補助」を追記し、社員の利用ハードルが上がらないようにしました。

⑤全社に周知する

規程と内規を整備したら、全社にアナウンスです。いよいよ制度運用スタートです!!

ワンポイント
KiteRaで規程改定の社内周知(下記画像)ができます。
規程ご担当者様ならお分かりなると思いますが、改定後の全社周知は手間がかかるもの・・・
 KiteRaでは改定した規程について、新旧規程の差分とともに周知できるほか、従業員のアクセス記録の保管もできます。 KiteRaの社内通知機能はSlackのAppにも連携しているのもGood Point! 従業員の規程へのアクセスをしやすくする、とても便利な機能です。

そもそも、なぜリファラル採用を導入したのか?

採用強化を目的にした施策の一つ

2023年3月頃に、リファラル採用を制度化し定着させようと考えました。その頃弊社は、更なる事業成長にむけて半年間で20名以上の採用計画があり、採用力の強化が喫緊の課題でした。自社の採用力を高めるための施策として、実施したのが次の3つです。

①母集団形成    ⇒ 採用広報としてのnoteの活用
②候補者体験最適化 ⇒ キャンディデートジャーニーマップの作成・活用
③内定承諾率の向上 ⇒ リファラル採用の活用

 リファラル採用で内定承諾率UP?

導入前に、試験的にリファラル採用を実施した際、どの応募経路よりも圧倒的に内定承諾率が高かったのがリファラル採用でした。その差なんと、弊社の平均内定承諾率と比べて15倍。

 その理由は・・・

・社員が採用候補者へKiteRaの魅力を自分の経験として直接伝えることができる
・採用候補者は求人情報だけではわからない、チームの雰囲気やスタートアップで働くリアルをより具体的にイメージできる
・採用候補者は選考過程において採用候補者がカルチャーフィットを確認しやすい

 採用強化策としてのリファラル採用の可能性を感じ、制度化しようと決めました。

 導入半年後の課題

 導入半年後の実績

 リファラル採用の応募者数10名、入社者数3名。(2023年2月〜7月)

 導入半年後の課題

制度として認知はされてきたものの、全社的なアクションまでにはつながっていない状況。 全社に浸透しているとまでは言えない点が課題でした。「リファラル採用に成功している会社がどんな取り組みをしているのか?」。弊社でできることをとにかく真似してやってみることにしました。

 制度を浸透させるためにやった3つのこと

①リファラル採用周知強化活用

 規程とNotionをアナウンスしただけでは十分な周知ができていたとはいえないのでは?
そんな反省から次の3つを実施!

Tシャツ作成
弊社精鋭のデザイングループに「インパクトあるTシャツを作ってください!」と依頼したところ、こんな素敵に仕上がりました。リファラル採用の認知が広まり声をかけていただけるよう、採用チームメンバーがリファラル相談室やイベントで着用することになりました。

相談会実施
「リファラル採用ってどのように声掛けたらいい」「選考フローはどうなる。」どんなささいなことでもお気軽にご質問くださいというスタンスで、採用チームメンバーが日替わりで相談会を実施しました。

各部署の定例MTGでの案内
採用チームのMGRと私の二人が全部署の定例MTGにお邪魔し、冒頭3分でリファラル採用制度の説明をしました。

②リファラル報奨金増額キャンペーン

より採用を強化したい職種について、期間限定で報奨金の支給額を増額するキャンペーンを展開しました。

報奨金
紹介者60万円(通常の3倍!!!)
入社者10万円(通常の2倍!!)

③リファラルミートアップ開催

 リファラルご紹介を検討されている知人・ご友人の方にKiteRaを知っていただく出会いの場として、対面イベントを企画! 軽食やアルコールもご用意し、毎月一回、終業後の夜間に実施しました。代表取締役の創業秘話やメンバーとの座談会を通して、参加者からは「良い点だけでなく、今の課題感も直接聞くことができ、KiteRaで働くリアルを感じられた」との声がありました。

まとめ

相談会を実施したり、各部署の定例MTGで説明したり、Tシャツを作ったり・・・弊社もまだまだ模索中ですが、少しずつ成果に結びついていると感じています。直近6ヶ月の入社者(予定者含める)に占めるリファラル採用比率は今半期(2024年1月〜2024年6月)は24%。前半期(2023年7月〜2023年12月)8%から比べて3倍にアップしました。

弊社のリファラル採用の取組みについて話を聞いてみたいという人事ご担当者様、ぜひ採用公式X(株式会社KiteRa@人事)までご一報ください。また、規程マネジメントシステムKiteRaについてご興味お持ちいただいた規程ご担当者様からのお問い合わせ資料請求もお待ちしています。

小林 眞理
HRユニット 人事統括
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