就業規則とは?記載内容や作成の流れ、変更方法を解説

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竹内 智也

株式会社KiteRa エキスパートグループ の竹内智也です。

今回のテーマは就業規則です。
就業規則とは、「会社」と「従業員」の間のルールブックになります。

本記事では記載すべき内容や作成方法などを解説し、
就業規則を正しく効率的に運用するための方法もご紹介します。

就業規則とは


「労働者の集団に対して適用される労働条件や職場規律について定められた規則」の総評を指し、いわゆる会社が定める「会社」と「従業員」の間のルールブックです。

会社が従業員に対して、「どのように働いて欲しいか。」というメッセージをこめて、会社と従業員の成長を促し、従業員も就業規則が存在することにより、会社の価値観や、会社で働く上でのルールをあらかじめ分かることにより、「安心して働く。」ことが可能になります。

また、日本の労使慣行は、新卒採用に見られるような多数の従業員を使用して効率的、合理的な事業経営を可能にするために、個別の労働契約に詳細な労働条件を定めず、就業規則において詳細な労働条件を統一的に定めることが広く一般的に行われてきています。

法律的な側面では、労働契約法第7条の解釈により、労働契約締結時において労働条件を詳細に定めておらず、合理的な労働条件が定められていて、就業規則を従業員に周知していた場合は、集団的なルールの部分は就業規則の内容が法律上当然に効力が発生するとされています。

(労働契約法第7条)※引用
「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。」

就業規則が必要な会社    

就業規則の作成義務がある会社は、常時10人以上の従業員を使用する会社です。
また、就業規則の作成、届出を行わない場合は罰則もあります。

(労働基準法第89条)※引用
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政庁に届け出なければならない。

(労働基準法第120条)※引用
次の各号(第89条を含む)のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。

常時10人の解釈は、時として10人未満になる場合でも、常態として10人以上の従業員を使用している場合もあてはまり、パートタイマーやアルバイトも含みます。

また、労働基準法上「事業」とは、「工場、鉱山、事務所、店舗等の如く一定の場所において相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体であって、必ずしもいわゆる経営上一体をなす支店、工場等を総合した全事業を指称するものではない」と解されているので、常時10人の判定は、「事業場」ごとに判断されます。

常時10人未満の会社の場合は作成義務はないものの、就業規則の作成をオススメ致します。後述するように、労働条件の可視化をすることで、会社内ルールが明確になり、労使トラブルが起こりにくくなり、従業員も安心して働けることにも繋がるからです。

    

就業規則を作成する4つのメリット

【1】労働条件の可視化


就業規則を見れば、会社で働く上でのルールがわかるので、従業員が安心して働けるようになります。

従業員が働く上で関心度が高い「所定労働時間」、「休日」、「休暇」、「賃金」、「勤務場所」などの事項が不明瞭だと、従業員は安心して働くことができません。
また、特に従業員にとって重要なことは、「絶対的必要記載事項」として、就業規則に必ず記載しなければならないことになっています。

【2】会社内部のルールを明確にできる

複数の従業員を使用する場合においては、個々の従業員の労働条件がバラバラであれば、統制のとれた労務管理をすることは難しく、職場規律の継続もできなくなります。

従業員間で不公平が生じないようにするためにも、「労働条件の整備=就業規則の作成」をすることは、とても重要です。

また、就業規則を確認することにより、会社のルールを明確に知ることができ、労使間トラブルの防止にも繋がります。

【3】業務命令等を行うことができる

会社は、配置転換、時間外労働、休日労働、懲戒処分などを行わせたい場合でも、就業規則に根拠がなければ、行わすことができません。

懲戒処分に関しては、服務規律で規定することが一般的です。

また、時間外労働、休日労働に関しては、「時間外労働・休日労働に関する協定(以下「36協定」という)」を締結をして、届出をするだけでは足りず、就業規則に時間外労働を命じる根拠を規定することが必ず必要です。

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【4】助成金を受給できる可能性が広がる

助成金によっては、申請書類として就業規則が必要になってきます。前述のように、就業規則の作成義務があるのは、常時10人以上の従業員を使用する会社になりますが、助成金申請の際には、常時10人未満の従業員を使用する会社においても就業規則が必要になってくることがあります。

就業規則の記載事項

絶対的必要記載事項

就業規則に必ず記載しなければならない事項。
従業員が働く上で、特に関心度が高い「所定労働時間」「休日」「賃金」等に関する事項が絶対的必要記載事項の内容です。

(1)始業及び終業の時刻

始業及び終業の時刻とは、当該事業場における所定労働時間の開始時刻と終了時刻のことを指します。
労働時間については「1日8時間とする」というような所定労働時間数だけの規定では足りず、「始業時刻午前9時、終業時刻午後18時」というように、具体的な時刻を定めることが必要です。

理由としては、所定労働時間の長さと位置を明確にするためになります。部署によって、始業時刻、終業時刻が異なる場合は部署ごとに定める必要があります。

(2)休憩時間、休日、休暇

休憩時間については、休憩時間の長さや休憩時間の与え方について具体的に規定することが必要になります。また、労働時間が6時間を超える場合には45分、8時間を超える場合には1時間の休憩時間を与えなければなりません。

業務の都合上、休憩時間の繰上げ、繰下げ変更を行う場合があるときは、「業務の都合その他やむを得ない事情により、繰上げ、又は繰下げることがある。この場合、事前に社員に通知する。」というような規定を設ける必要があります。

休日については、その日数、与え方(1週1回、又は1週の特定の日曜日等)を記載する必要があります。労働基準法においては、休日を特定することまでは、義務付けられてはいませんが、休日があらかじめ判明していないと、従業員も安心して働くことができないので、所定休日を含む休日を特定しておくのが望ましいです。

休暇については、法令上付与が義務付けられている年次有給休暇、産前・産後休暇、育児休業、介護休業等の他に、会社が任意で付与している夏季休暇、年末年始休暇、リフレッシュ休暇のように、事業場において制度化された休暇であれば規定する必要があります。

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(3)交代制労働における就業時転換に関する事項

交代制における交代の順番や交代期日を記載する必要があります。
労働者を2組以上に分けて交代に就業させる場合の交代期日、交代順序等に関する事項が該当します。

就業時転換に関する事項は、絶対的必要記載事項であるものの、就業時転換のルールがある場合にのみ、就業規則に記載すれば良いとされています。

(4)賃金に関する事項

一時金や退職手当等の臨時の賃金等を除く「賃金」について、その「決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」を記載する必要があります。

賃金の決定、計算の方法については、具体的な金額まで記載しなければならないというわけではなく、給与決定の考慮要素として給与のロジックや、給与体系図が記載されていれば足ります。賃金に関する事項は条数が多くなるので、就業規則の本則ではなく、給与規程という形で別の規程を作成することも多いです。

固定残業代制を導入している会社も多いですが、その場合も以下のような要件が求められるので注意が必要です。

<要件>
・通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分が判別できること
・固定残業代は固定残業時間の時間外労働等の対価として支払われ、通常の時間外労働と同様に、労働基準法の割増率で計算されること
・固定残業時間を超える時間外労働分については、割増賃金が追加で支払われること

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(5)退職に関する事項(解雇の事由も含む)

会社と従業員との労働契約が終了する事由をすべて記載することが必要とされます。

下記のような事項を記載します。

・定年制
・当然退職事由
・合意退職
・辞職
・解雇
・期間満了による労働契約の終了

また、解雇については、労働契約法第16条において社会一般的に認められるような事由でないといけないとされているので、就業規則に記載する際は注意が必要です。

 (労働契約法第16条)※引用
使用者は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

キテラボ編集部より
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退職代行からの連絡対応や、具体的な退職手続きなどをテーマにした記事もございます。業務のご参考になれば幸いです。

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相対的必要記載事項

会社として、制度を定める場合は必ず記載しなければならない事項。
「退職手当に関する事項」「臨時の賃金(賞与)」「表彰、制裁に関する事項」等に関する事項が相対的必要記載事項の内容です。

(1)退職手当に関する事項

退職手当の定めをする場合においては、「適用される労働者の範囲」、「退職手当の決定、計算及び支払の方法」並びに「退職手当の支払時期に関する事項」の記載が必要とされます。

また、「退職手当」とは、支給条件が明確であり、その受給権が退職が要件で、在職中の労働全体の対価として具体化する権利であれば、退職一時金や退職年金も該当します。

(2)臨時の賃金(賞与、臨時の手当)、最低賃金額に関する事項

行政解釈によると、労働基準法第24条2項ただし書で定められる臨時に支払われる賃金、賞与及び労働基準法施行規則第8条各号に掲げられる賃金とされているので、労働基準法第89条2号で絶対的必要記載事項とされている毎月支払われるべき賃金以外の賃金を指します。

(労働基準法第24条第2項)※引用
賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第89条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

(労働基準法施行規則第8条各号9)※引用
労働基準法第24条第2項但書の規定による臨時に支払われる賃金、賞与に準ずるものは次に掲げるものとする。
① 労働者の収入によつて生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害をうけた場合
② 労働者又はその収入によつて生計を維持する者が結婚し、又は死亡した場合
③ 労働者又はその収入によつて生計を維持する者がやむを得ない事由により一週間以上にわたって帰郷する場合

(3)食費、作業用品その他の負担に関する事項

従業員に食費や作業用品、社宅費、共済組合費等の経済的負担を課する場合は記載する必要があります。また、負担額、負担方法等についても記載します。

在宅勤務やテレワークを導入している場合は、通常勤務では生じない通信費用の負担が生じる場合がありますので、就業規則に費用負担の定めを規定する必要があります。

(4)安全衛生に関する事項

行政解釈によると、労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生施行規則等に定められている事項のうち、当該事業場に特に必要な事項の細目や、これらの法令等に定められていなくても当該事業場の安全衛生上必要なものは記載をします。

(5)職業訓練に関する事項

行政通達(昭44.11.24基発776号)によると、行うべき職業訓練の種類、訓練に係る職種等訓練の内容、訓練期間、訓練を受けることができる者の資格等、職業訓練中の労働者に対し特別の権利義務を設定する場合にはそれに関する事項、訓練修了者に対し特別の処遇をする場合にはそれに関する事項等を記載する必要があるとされています。

(6)災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

行政解釈によると、災害補償については、労働基準法に規定する災害補償に関する細目規定、労働基準法又は労働者災害補償保険法を上回る補償を行う場合においては、これに関する定め、業務外の傷病扶助については、当該事業場が健康保険法又は厚生年金保険法の適用を受ける場合には、これらを法律で定める給付以外の又は補充する扶助に関する規定、これらの法律の適用を受けない場合には、会社が自主的に行う扶助に関する規定等が考えられます。

(7)表彰、制裁に関する事項(懲戒に関する事項)

表彰については、表彰の事由、方法、時期、手続等を記載します。

制裁については、就業規則では一般的に「懲戒」として規定されます。
「種類及び程度」を就業規則上明確に定める必要があり、けん責、減給、出勤停止、昇給の停止、降格降職、懲戒解雇等の制裁の種類、程度、制裁事由について具体的に定める必要があります。

また、懲戒については、懲戒権の根拠となる事由とこれに対する懲戒の種類、程度が就業規則上明記されていることが必要になります。

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(8)その他全労働者に適用される事項

当該事業場の労働者のすべてに適用される事項の他に、一定の範囲の労働者にのみに適用される事項であるが、労働者のすべてがその適用を受ける可能性があるものも含まれると解されております。

主な事項は下記になります。
・旅費規定
・福利厚生施設
・休職
・配転
・出向
・副業
・テレワーク、在宅勤務

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任意的記載事項

法的規制が無いので、公序良俗に反しない範囲内で自由に記載することができる事項です。

絶対的必要記載事項、相対的必要記載事項以外の事項については、使用者が定めるかどうかは自由なので、任意的記載事項と呼ばれています。 

下記のような事項が考えられます。

(1)目的
(2)適用範囲
(3)採用手続
(4)服務規律

キテラボ編集部より
上記の中でも、服務規律は、非常に関心の高い記載事項の一つだと思います。船内恋愛禁止、あいさつ義務、ひげ、ピアス、茶髪NGなどを定めている企業もあります。もちろん、服務規律は、規定すれば如何なるものも効力は発揮するわけではありません。下記の記事も合わせてご確認ください。

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就業規則作成の流れ

      
【1】「作成」する
・就業規則案を作成する
・過半数労働組合または過半数代表者に意見を聴取する。
      
【2】「届出」する
・従業員代表の意見書を添付し、所轄の労働基準監督署に届け出る。

【3】「周知」する
・就業規則を従業員に周知する。

使用者は、就業規則を常時各作業場の見やすい場所での掲示、備え付け、書面の交付、またはコンピュータを使用した方法によって、労働者に周知しなければならないとされています。

就業規則が周知されていない場合については、下記の記事で弁護士が解説しています。合わせてご確認ください。

(関連記事)<弁護士が解説>人事担当者向け!就業規則が周知されていないときの効力とは。判例を交えて解説

キテラボ編集部より
初心者向けに「社内規定の作成から運用」までをまとめた資料(36ページ)もあります。
「分かりやすさ」をテーマに、図や表をふんだんに活用しています。
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就業規則の見直す3つのタイミング

【1】法改正があった時

法改正が行われると、法改正に関連した就業規則の規定を変更する必要があります。
例えば、令和6年の法改正では、専門業務型裁量労働制の導入、継続のルールが変更になることに伴い、就業規則の規定の仕方を変更する必要がありました。
また、育児・介護休業法については、毎年のように法改正が行われております。
※令和7年4月にも法改正が行われるので、本年度中に準備が必要になります。

キテラボ編集部より
最新の法改正情報は下記のようにWebメディア「キテラボ」からも発信しています。

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(関連記事)法改正やルール変更のまとめ!人事労務担当者向け【2024年重要トピック】

また、弁護士法人恵比寿パートナーズ法律事務所様のご協力のもと、
就業規則を見直すタイミングや注意すべきポイントについて、下記の記事でも取り上げています。

(関連記事)こんな就業規則は労働基準法違反!?弁護士が問題のある規定例などを解説
(関連記事)就業規則を定期的に見直してますか?弁護士が5つのポイントを解説

【2】従業員の新しい雇用形態が増えた時

正社員以外に契約社員やアルバイト、パートタイマー等の従業員を使用するようになると、それぞれの雇用形態に沿った賃金体系や、労働時間のルールを規定する必要が出てきます。
就業規則の管理方法についても、「正社員就業規則」「契約社員就業規則」「パートタイマー・アルバイト就業規則」のように、雇用形態別に就業規則を作成する会社も多いです。
また、雇用形態別に就業規則を作成することにより、適用範囲が明確になるので、雇用形態別に適用したい事項があった場合に、意図せずに適用対象にしてしまうリスクを減らすこともできます。

キテラボ編集部より
人手不足解消の手段として「スキマバイト」を検討しているご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか?いくつか注意点が必要で、就業規則についても、スキマバイトで働く従業員への周知は必要になります。下記も合わせてご参考ください。

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スキマバイトを企業が導入する際の注意点!労働条件の明示や就業規則の周知方法について

株式会社KiteRaが2024年に実施した【スキマバイトに関する実態調査】のデータを交えつつ、社労士がスポットワーカーへの就業規則の周知や労働条件の明示ルールなどの注意点を解説しています。

【3】IPO等で企業統治をより整備しようとした時

IPO等を進めていく上で、就業規則の見直しも必要になってきます。
IPOの審査過程で、就業規則を含んだ各種規程の内容が実態に適合しているか、
就業規則、給与規程等の異なる規程間において、整合性はとれているか、
規程の管理者が明確になっているか、周知が徹底されているか等がチェックされます。

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就業規則変更時の注意点

〇従業員に不利益な変更を行う場合

 就業規則を、従業員にとって不利益な変更をする場合において、労働契約法では一定の規制をかけています。

(労働契約法第9条)※引用                       
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。                     

(労働契約法第10条)※引用
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

原則としては、従業員と合意することなく、就業規則を不利益に変更することはできないとしているが、「変更後の就業規則を周知」や「内容が合理的」か等を勘案して、不利益な変更ができるとしています。ただし、何をもって「内容が合理的」かどうかで、労使間のトラブルに発展し、裁判になっているケースもあるので、まずはどんな変更だったとしても、しっかりと労使間で話し合い、変更することが一番だと考えます。

「就業規則の不利益変更」については、下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

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就業規則の不利益変更とは?要件や具体的な手順、注意点などを弁護士が解説!

就業規則の不利益変更の2つの要件は、【1】変更後の就業規則の周知と【2】就業規則の変更の合理性になります。後者の合理性については、不利益の程度や変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性などがポイン...

〇労使協定の締結が伴う規定の変更を行う場合

制度を導入する上で、労使協定を締結する必要があるものに関しては、就業規則との整合性を確認する必要もあります。
例えば、「フレックスタイム制」の場合は、「コアタイム」や、「フレキシブルタイム」に関する事項や、「1年単位の変形労働時間」の場合は、「特定期間」に関する事項が該当します。労使協定に記載する事項で、就業規則にも記載する事項が何かをあらかじめ把握しておくことが大切です。

(関連記事)労働協約と労使協定の違いとは?概要や注意事項を解説

まとめ

以上、就業規則に記載すべき内容や、作成の流れ、見直すタイミングなどについて解説してきました。

本記事を閲覧しているご担当者様は「就業規則は運用しているが、周知方法で手間がかかる」「就業規則を変更する際に、新旧対照表の作成に負担を感じている」「最新の法改正情報をキャッチアップするのが大変だ」など、それぞれに課題を感じているのではないでしょうか?

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竹内 智也
株式会社KiteRa エキスパートグループ 社会保険労務士
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