育児介護休業法改正の疑問に答えます 介護に関する「個別の周知や意向確認とは?」など(第3回)

社会保険労務士の北 光太郎です。
2025年育児介護休業法改正の施行が、いよいよ迫ってきました。
皆さん、準備は順調に進んでいるでしょうか?
「法改正内容は分かったけど、具体的な対応のイメージがつかない」「似たような単語が多く混乱している」という方も多いのではないでしょうか。
2025年育児介護休業法改正について、人事労務担当者が抱える20個の質問について、全4回の記事で回答します。皆様の業務のご参考になれば幸いです。
※「Q1 就業規則の修正が必要となる箇所は」〜「Q9 残業免除を同時に請求できるか」は、第1回の記事と第2回の記事をご参考ください。
Q10 介護に直面するすべての労働者に対して、個別の周知や意向確認を必ず実施する必要があるのでしょうか?
申出があった場合には、すべての労働者に対して個別の周知や意向確認を実施する義務があります。
参考:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A」
Q11 介護に直面していることを従業員が申出る際、従業員は口頭での申出でも問題ないでしょうか?
法令では、申出方法を書面に限定していません。そのため、事業主が特段の取り決めをしていない場合は、口頭での申出も可能です。ただし、事業主が申出方法を指定する場合は、あらかじめその方法を明示しておくことが求められます。もし申出方法を指定する場合は、労働者に過度な負担をかけないよう十分に配慮することが大切です。
なお、指定された方法に基づいていない申出があった場合であっても、必要な内容を満たしている限り、事業主は対応を行う義務があります。特に口頭での申出の場合は、措置を円滑に実施できるよう事前に申出先を明確にし、労働者へ周知しておくことが望ましいでしょう。
参考:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A」
Q12 対象家族の介護について従業員から申出があった場合、具体的にどのように対応すればよいでしょうか?
労働者から家族の介護に直面した旨の申出があった場合は、労働者に対して、仕事と介護の両立支援制度等について周知するとともに、制度の取得意向を確認するための措置を実施する必要があります。
周知する事項は以下のとおりです。
- 介護休業に関する制度及び介護両立支援制度等
- 介護休業に関する制度及び介護両立支援制度等の利用に係る申出の申出先
- 介護休業給付に関すること
「介護休業に関する制度及び介護両立支援制度等」とは、介護休暇や所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮などの制度のことです。
参考:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A」
Q13 介護両立支援制度に関する早期の情報提供について、どのような内容を、いつ行えば良いでしょうか?
今回の改正により、家族の介護に直面する前の早い段階(40歳前後)に、仕事と介護の両立支援制度等に関する情報を周知することが義務付けられました。
周知の時期は以下のいずれかにすることが求められています。
- 労働者が40歳に達する日の属する年度の初日から末日までの期間
- 労働者が40歳に達する日の翌日から起算して1年間
情報提供する内容はQ12と同様です。
- 介護休業に関する制度及び介護両立支援制度等
- 介護休業申出及び介護両立支援制度等の利用に係る申出先
- 介護休業給付に関すること
また、情報提供を行うにあたっては、介護保険制度についても併せて周知することが望ましいとされています。
情報提供の方法は以下の4つです。
① 面談
② 書面の交付
③ FAX の送信
④ 電子メール等の送信
上記いずれかによって行う必要があります。なお、③④は労働者が希望した場合のみ、①についてはオンラインによる面談でも差し支えありません。
参考:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A」
Q14 介護に関する個別の周知や意向確認は、人事部から行う必要がありますか?
介護に関する個別の周知や意向確認は、2022年(令和4年)4月1日から義務化された育児に関する仕組みを、採用したものになります。
個別の周知や意向確認は、人事部でなくても事業主から委任を受けていれば、所属長や直属の上司であっても差し支えありません。なお、所属長や直属の上司が実施することで、労働者が意向の表明をしにくい状況にならないよう実施者に対して制度の趣旨や適切な実施方法等を十分に周知しておくことが大切です。
参考:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A」
キテラボ編集部より
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規程管理システムとは!?社労士が人事労務担当者向けにメリットを解説します
規程管理システムとは、各企業が独自に定める社内ルール「社内規程」の作成・改定・管理を行うためのシステムのことです。専用のシステムを使うことで、効率的かつスムーズな作業が実現できます。
※育児介護休業法改正の内容については、下記の資料(23ページ)でまとめています。合わせてご確認ください。

2025年施行 育児介護休業法改正
この資料でわかること 2025年4月1日施行の改正内容 2025年10月1日施行の改正内容 雇用保険法の改正内容 企業の対応が必要なこと 出生後休業支援給付金の紹介 など 2025年の育児・介
※第4回は近日公開予定です。