人事評価制度を設計するには?注目の制度や手順、フレームワークを解説!【設計・応用編】

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KiteLab 編集部

経営目的を実現させるために不可欠な人事評価制度。しかし、適切な設計の下、自社の経営課題に即した制度を導入しないと、十分な効果を得ることはできません。
本記事では、効果的な人事評価制度を導入するための設計方法について、手順やフレームワークを解説します。

知っておきたい、注目の人事評価制度

人事評価制度は、高度経済成長期からバブル崩壊、アベノミクスを経て現在に至るまで、時代とともに、日本の人事評価制度も移り変わりを見せてきました。
高度成長期における「年功序列」からオイルショック後には「能力主義」が中心となり、バブル崩壊後には「成果主義」の下、「MBO:目標管理制度」が浸透しています。
そして、労働人口減少とともに働き方の多様化が進むなか、アメリカから360度評価やコンピテンシー評価などの新しい人事評価制度がもち込まれてます。

MBO

MBO(Management by Objectives)は、日本で最も普及している人事評価制度です。被評価者が設定した目標に対し、成果やプロセスを対象に評価する目標管理手法。

OKR

OKR(Objectives and Key Results)は、MBOと同様、目標管理手法のひとつ。会社目標を高い次元で実現するために活用される目標管理制度。

360度評価

360度評価とは、上司はもちろん、部下や同僚など多方面の関係者が評価する多面評価制度。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、ハイパフォーマーのコンピテンシー(行動特性)を指標とする人材評価手法。

それぞれの人事評価制度の概要を知りたい方は、人事評価制度とは?概要や仕組み・種類など知るべき基本を簡単解説 をご参考ください。

人事評価制度の設計に欠かせない6つの手順

ここでは、自社の経営目標に即した人事評価制度を導入するために、欠かせない手順を紹介します。

①現状把握

第一にすべきは、現状把握です。
自社の経営戦略を実現するために、人事戦略全体をどうすべきか課題を抽出します。そのためには、採用市場や競争環境など自社のおかれている環境を踏まえ、自社の強み・弱みを分析し、現状把握を行います。この現状把握を効果的に行う方法については、後段の人事評価制度設計に使えるフレームワークで解説していますので、ご参考ください。

②目的の明確化

現状把握の次に行うべきことは、目標の明確化です。
自社の経営戦略を実現するために、現状把握の下、自社の強みをどう活かして課題を解決するかを検討します。そのうえで、人事戦略のあるべき方向性を明らかにし、目標を明確化することで、人事戦略のコンセプトを設計することが可能になります。

人事評価制度のみにフォーカスするのではなく、人事戦略全体のコンセプトを再構築することで、統一したコンセプトで人事戦略を実現することができます。

③人事戦略の策定

目的の明確化ができたら、人事戦略の策定を行います。
人事戦略は、経営戦略を遂行するために、中長期的にどのような人員体制とすべきかを検討します。
具体的には、採用・配置・育成など人材をどのように処遇するかの「人材ポリシー」のほか、いつまでにどれくらいの人材が必要かの「人材ポートフォリオ」を決定します。
ここで重要なことは、単なる人数合わせではなく、価値観や行動特性など、自社の求める人材の方針も定めておくことです。

④制度アウトライン設計

人事戦略の次は、制度のアウトラインを設計します。
「等級制度」「評価制度」「報酬制度」からなる各制度は相互に連動するため、いきなり各制度を作りこむのではなく、人事評価制度全体をどのように設計するかのアウトラインを設計することが重要です。たとえば、「評価結果を等級に反映させる」「等級毎に報酬を決定する」「評価結果を報酬に反映させる」など、相互に連動することから、制度間の関係を含めたアウトラインを設計します。

⑤各制度の設計

アウトライン設計の次は、各制度の設計に入ります。
人事制度は、「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つの要素で構成されますが、この人事制度の3つの各制度を設計します。

等級制度の設計

等級制度とは、「職能」「職務」「役割」によって社員を区分し、等級として序列をつける制度です。自社の経営目的を達成するために、どのような区分で社員の等級を設計するかを設計します。

基本的には、在籍年数に応じて職務遂行能力も比例して高くなると定義付けている「職能資格制度」、在籍年数に関係なく、職務の価値を評価する「職務等級制度」、職務と個別能力を合理的に評価する「役割等級制度」のうち、自社の目的に合った等級制度の制定が必要です。

これらの制度をベースに、自社の目的に合わせた制度を設計することが重要となります。

評価制度の設計

評価制度とは、評価結果を等級や処遇に反映するための人事制度の根幹となる制度です。

この評価制度の設計で重要なことは、自社の求める人材像を定義し、「評価基準」として誰でも理解できる言葉に落とし込むこと。能力面や成果面はもちろん、企業文化や価値観、行動特性など、情意面も明文化し、公平な評価を実施できる仕組みをわかりやすく作ることがポイントです。

報酬制度の設計

報酬制度とは、仕事への貢献度や成果に応じて、報酬を決定する制度です。
この報酬には、「給与」「賞与」「退職金」や「福利厚生」があり、評価制度と等級制度に基づいて設計します。ここでは、主となる「給与」と賞与について触れます。

【給与の設計】

職能資格制度では「在籍年数や年齢」、職務等級制度や役割等級制度では「仕事の成果」など、それぞれの制度に応じた報酬設計をします。

一般的には、等級と号俸からなる基本給の賃金テーブルを設計します。横軸が「等級」、縦軸が「号俸」で構成され、昇給によって号俸が上がる仕組みとなります。成果主義の場合、成果の対価として評価結果に応じた「成果給」といった手当を設けることもあります。

【賞与の設計】

賞与原資の下、賞与算定基礎額に「支給月数」や「評価係数」、「職責係数」などを乗じることで、社員個人の賞与額を算出する設計が一般的です。

賞与算定基礎額については、基本給や役職手当などの基準賃金をベースとする「給与連動方式」、年功的な度合いを排除するために給与と連動させず独自のテーブルを設ける「別テーブル方式」などがあります。

⑥評価ルールの設計

制度設計を終えたら、運用を適正に実施するための評価ルールを設計します。

具体的には、面接実施方法や人材評価方法、評価フィードバックのほか、相対評価の場合における評価調整の方法などのルールを定めます。このルールがないと、「運用が徹底されない」「運用が属人的になる」といった不具合が生じるため、必ず定めてください。

人事評価制度設計に使えるフレームワーク

人事評価制度を設計するには、その前段として、経営戦略に基づく人事戦略を策定することが不可欠です。

ここでは、人事戦略を効果的に策定するためのフレームワークを紹介します。

自社をあるべき方向性に導くSWOT分析

SWOT分析とは、自社を取り巻く「機会」「脅威」からなる外部環境、自社における「強み」「弱み」からなる内部環境を要因分析し、自社の課題を抽出するフレームワークです。
「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つの頭文字を取ってSWOT(スウォット)分析といわれています。

外部環境のうち「機会」は、経済や業界の変化による自社のプラス要因、「脅威」は、経済や業界の変化による自社のマイナス要因を指します。他方、内部環境のうち「強み」は、自社の製品や―ビス独自の長所、「弱み」は、自社の製品や―ビスの短所を指します。
この4つの視点に分けて自社の内外環境を分析することで、戦略の立案や意思決定の方向性を効果的に導くことができます。

内部環境外部環境
Strength(強み)Opportunity(機会)
Weakness(弱み)Threat(脅威)

深堀りして解決方法を導き出す「ロジックツリー分析」

ロジックツリー分析は、様々な問題や課題をツリー状に展開し、原因や解決方法を導き出すことができるフレームワークです。

課題や問題をツリーのトップに配置し、このトップから課題や問題の要素となる項目をモレなくダブりなく展開していきます。ロジックツリー分析によって要素分解することで、問題の原因究明や課題解決策を導くことが可能になります。

まとめ

本記事では、効果的な人事評価制度を導入するための設計方法について、手順やフレームワークを解説しました。

人事評価制度設計のポイントは、自社の経営戦略を実現するために人事戦略を策定し、それに基づいた人事評価制度を適切な手順で設計することです。本記事で紹介した設計手順やフレームワークを参考にし、自社の経営目的を実現するための人事評価制度を効果的に設計しましょう。

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