社員の健康管理とメンタルヘルス対策の基本 | 労務担当者1年目必読

更新日

|

投稿日

KiteLab 編集部

労務担当者1年目が行う健康管理とメンタルヘルス対策は、会社全体の生産性を左右する重要な取り組みです。昨今ではストレス社会となっており、メンタルヘルス対策をしっかりと行うことや、社員のメタボリックシンドローム対策など、身体的な問題と精神的な問題の両方を対策することが求められます。

少子高齢化社会を迎えている日本では、いま在籍している従業員がどれだけ長く勤務できるかが、会社の将来を左右する可能性があります。今回は、労務担当者1年目が行うべき健康管理とメンタルヘルス対策について解説します。

労務担当者1年目が行うべき健康管理とメンタルヘルス対策

労務担当者1年目から、健康診断業務や、ストレスチェック対策など、様々な行うべきことがあります。健康管理とメンタルヘルス対策について、それぞれ解説します。

健康診断業務

健康診断業務は、健康管理業務の中でも最も基本的な業務です。その理由は、従業員の健康状態を把握するために必要不可欠な基礎的な手段であるからです。健康診断によって、従業員の健康状態を早期に発見し、適切な処置を行うことで、従業員の健康管理を促進することができます。

さらに、労働安全衛生法に基づき、最低でも年に1回、健康診断業務が行われることが求められています。健康診断結果をもとに、従業員に対して健康に関する情報提供やアドバイスを行うことで、従業員の健康意識を高めることもできます。そのため、健康診断業務は、健康管理業務において最も基本的かつ重要な業務であり、従業員の健康状態を確保するために必要不可欠な業務と言えます。

ストレスチェック実施

ストレスチェックの実施は、年に1回、50名以上の労働者を雇用する事業場に義務付けられています。この制度は、従業員が仕事上どのようなストレスを抱えているかを確認するためのものであり、長時間労働や過剰な業務負荷、人間関係のストレス、職場の環境ストレスなどによって、どの程度ストレスを感じているのかを調査することができます。さらに、ストレスチェックの結果をもとに、従業員に適切なカウンセリングや心理教育を提供することで、ストレス解消やメンタルヘルスの改善につなげることができます。

また、労働者のストレス状況を把握し、ストレスが原因で発生する労働災害を未然に防止することができます。従業員がストレスを感じている場合には、早期に対処することが重要です。そのため、ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルスを確保するために、重要な制度の一つと言えます。

ハラスメント対策の実施

従業員の健康管理には、ハラスメント対策を実施することが不可欠です。なぜなら、ハラスメントから精神的なストレスが生じることがあるからです。パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなど、様々なハラスメント行為が存在しますが、これらは従業員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことがあります。

ハラスメントを受けた従業員は、ストレスや不安、うつ病などの精神的な問題を抱えることがあります。精神的なストレスは、身体的な症状や集中力の低下、業務パフォーマンスの低下、職場離脱の原因となることがあります。そのため、ハラスメント対策を実施することで、従業員のメンタルヘルスを保護し、生産性の向上につなげることができます。ハラスメント対策としては、従業員への啓発活動や教育、ハラスメント防止規則の策定や定期的なハラスメント調査などが挙げられます。また、ハラスメントが発生した場合には、適切な対応や相談窓口の設置などが必要です。

福利厚生でスポーツジム等と契約

労務担当者は、1年目から社員の健康管理に役立つ取り組みを行いましょう。例えば、福利厚生でスポーツジムと契約することで、社員の健康づくりをサポートすることができます。なぜなら、社員の健康管理は企業にとって非常に重要な課題であり、生産性の向上や従業員の定着にも密接に関わっているからです。健康な社員は、業務に対するモチベーションが高まり、業務効率が向上することが期待できます。

また、健康的なライフスタイルを維持することは、従業員のメンタルヘルスにも良い影響を与えます。運動不足やストレスが原因で発生する健康問題を予防することで、従業員のストレス緩和やメンタルヘルスの向上につながります。スポーツジムとの契約は、社員が運動を習慣化し、健康的な体づくりをサポートする取り組みです。さらに、健康診断や健康に関するセミナーなど、労務担当者が実施できることで、従業員の健康管理に貢献しています。 

これらの取り組みは、従業員の健康管理に役立つだけでなく、企業のイメージアップにもつながります。働きやすい環境を整備することで、企業のブランド価値を高め、優秀な人材を確保することができるでしょう。

労務担当者1年目が知っておくべき健康管理の目的

労務担当者1年目が知っておくべき健康管理の目的として、生産性向上や、企業の印象を良くするといった目的があります。健康管理の目的について、それぞれ解説します。

生産性の向上を実現する

健康管理は、生産性の向上を実現するために行われます。なぜなら、健康管理には、従業員の健康状態を維持し、疾病の早期発見・治療を促進することで、生産性の向上を実現する効果が期待できるからです。

たとえば、健康な従業員は、疾病による欠勤や労働能力の低下が少なく、生産性が高くなることが知られています。また、健康状態が悪化すると、業務に対するモチベーションが低下し、業務効率が落ちることがあります。

これに対して、健康管理によって疾病予防や早期発見・治療を行うことで、生産性の低下を防ぎ、生産性の向上につながることが期待されます。健康管理には、メンタルヘルスのケアも含まれます。精神的なストレスや不安によって引き起こされるメンタルヘルスの問題は、労働能力の低下や欠勤の原因となることがあります。

健康管理によって、ストレスチェックやメンタルヘルスケアの取り組みを実施することで、メンタルヘルスの問題を予防・早期発見することができ、生産性の向上につながることが期待されます。また、このような取り組みによって、従業員の心身の健康をサポートすることができます。

企業の印象を良くする

健康管理には、企業の印象を向上させるという重要な役割があります。なぜなら、健康管理は従業員の健康を管理し、疾病の早期発見や予防、メンタルヘルスのケアを行うことで、企業が社員の健康に配慮しているという印象を与えることができるからです。

また、社員が健康であることは、企業のイメージ向上やブランド価値の向上にもつながります。さらに、健康管理は、企業に対する社会的な責任を果たすことができるという意味でも重要です。近年、社会から企業に対してCSR(企業の社会的責任)の遵守が求められるようになってきており、健康管理はCSRの一環として取り組むことができます。健康管理の取り組みによって、従業員の健康状態が改善され、企業が社会的な責任を果たしていることをアピールすることができます。

社員定着率を上げる

企業の健康管理には、社員の定着率を上げるという目的があります。なぜなら、社員が健康的に働くことができる企業は、従業員にとって働きやすい職場となるからです。たとえば、残業時間が短い職場や、ハラスメント対策をしっかりとしている職場では従業員が定着しやすくなるといった効果に期待できます。働きやすい職場環境の形成をすることには大きなメリットがあるのです。

労務担当者1年目が意識して取り組むべきこと

労務担当者1年目が意識して取り組むべきこととして、残業時間の削減や、健康診断後のフォローなどがあります。労務担当者1年目が意識して取り組むべきことについて解説します。

残業時間を削減する

労務担当者1年目が意識して取り組むべきことは、残業時間の削減です。なぜなら、残業時間の削減は、経験に関係なく取り組んでいくべき問題だからです。長時間労働をなくして生産性を上げ、従業員のモチベーションを高めつつ、会社の利益に貢献する方法を考えましょう。

健康診断後のフォローを行う

労務担当者が1年目からしておくべきことは、健康診断後のフォローです。なぜなら、要再検査が出ても、フォローしなければそれだけで終わりとなってしまうためです。従業員の健康診断の結果が悪い場合は、会社側がフォローしていく必要性があります。

休職者へのフォロー

メンタル疾患や、怪我、病気などで休職している従業員のフォローできる体制を作りましょう。休職扱いにして終わりではなく、細かく体調などをチェックする必要性があります。休職中もできるだけのことをするようにしましょう。

※休職者の社会保険料の取り扱いなどについては「休職中の従業員からの社会保険料等の徴収の注意点」の記事をご参考ください。

メンタルヘルスについて社員全員で勉強する機会を作る

労務担当者1年目から取り組むべき問題として、メンタルヘルスについて社員全員で勉強する機会を作りましょう。メンタルヘルス疾患の原因は、会社の風土が関係しているケースもあるためです。社員が働きやすい体制を作るように、知識を全社員が持つことが重要なのです。

産業医によるカウンセリングの実施

労務担当者1年目は、産業医による長時間残業者や、健康診断結果の悪い従業員に対して、カウンセリングを行う体制を作りましょう。なぜなら、時間労働やストレスは従業員の健康に大きな影響を与えるからです。たとえば、長時間労働は過労や睡眠不足を引き起こし、ストレスは心身の不調を引き起こすことがあります。これらの状態が継続すると、従業員の健康状態が悪化する可能性があります。そのため、早期に従業員の健康状態を把握し、必要な支援を行うことが重要です。

また、従業員が健康であることは企業にとっても重要です。従業員が健康であることで、生産性の向上や企業イメージの向上など、様々なメリットが生まれます。一方、健康状態が悪化した従業員が多いと、企業の業績や生産性に悪影響を与える可能性があります。そのため、企業は従業員の健康管理に積極的に取り組むことが必要です。

まとめ

今回は、労務担当者1年目が行うべき健康管理とメンタルヘルス対策について解説しました。特に注目して欲しい点として、ハラスメント対策も健康対策の1つということです。ハラスメントを放置すると、精神疾患などが起こる可能性があります。しっかりと対策を行い、社員の健康管理を行いましょう。

【関連アーカイブセミナーのご紹介】
企業に必要な休職・復職対応策〜従業員が健康に働くためにできること〜

Thumbnail

企業に必要な休職・復職対応策〜従業員が健康に働くためにできること〜

こちらは2023年8月2日に実施したセミナーの動画となります。多くの参加者の皆様からご好評を頂きましたため、録画動画を公開することとなりました。 お申込みいただくと録画動画の視聴と当時の資料をダウンロ

【関連お役立ち資料のご紹介】

Thumbnail

メンタルヘルスマニュアル休職~復職まで企業がとるべき3ステップ

この資料でわかること メンタルヘルス対策の基礎知識 メンタルヘルス対策の重要性 企業がとるべき3ステップ メンタルヘルス不調による休業者は年々増加傾向となっております。また本人だけの問題でな

KiteLab 編集部
KiteLab編集部
TOP実務の手引き

社員の健康管理とメンタルヘルス対策の基本 | 労務担当者1年目必読