IPOに必要な社内規程の種類と10個のチェックポイント
社内規程は内部統制のための基本的な構成要素
社内規程は、会社の業務や意思決定が属人的でなく組織的に管理運営されるために必要なルールを明文化したものであり、上場審査の過程ではその社内規程の整備が適正に行われていることと、実際に有効に運用されていることがチェックされます。
金融庁が掲げている財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準において、内部統制の基本的枠組みでは以下のように述べられています。
「内部統制は、社内規程等に示されることにより具体化されて、組織内のすべての者がそれぞれの立場で理解し遂行することになる。また、内部統制の整備及び運用状況は、適切に記録及び保存される必要がある。」(一部抜粋)
つまり、社内規程は内部統制の4つの目的と6つの基本的要素を確保するための基本的構成要素と理解できます。
内部統制の4つの目的
1.業務の有効性及び効率性
2.財務報告の信頼性
3.事業活動に関わる法令等の遵守
4.資産の保全内部統制の6つの基本的要素
1.統制環境
2.リスクの評価と対応
3.統制活動
4.情報と伝達
5.モニタリング
6.ITへの対応
キテラボ編集部より
より実務的な内容については、下記の記事で、日本取引所自主規制法人に出向した経験を持つ弁護士が、解説しています。人事労務担当者が注意すべき4つのポイントも紹介しています。
IPO準備に必要な社内規程とは?労務審査のよくある問題4点も解説!【人事労務担当者向け】
「上場に必要な社内規程は、具体的に特定されていない」ことや、「未払い残業代」「円満ではない離職に伴うトラブル」など労務審査で問題になりやすいポイントを、日本取引所自主規制法人に出向した経験を持つ弁護士...
IPOに必要な社内規程の種類

上場企業に必要とされる規程は次のようなものになります。
※企業規模や業種に応じて種類は異なります。
①基本規程
- 定款
- 取締役会規程
- 役員退職慰労金規程
- 監査役監査規程(監査役会規程)
- 株式取扱規則
②組織関連規程
- 組織規程
- 職務権限規程
- 職務分掌規程
- 稟議規程
③総務関連規程
- 印章管理規程
- 文書管理規程
- 規程等管理規程
④人事関連規程
- 就業規則
- 給与規程
- 退職金規程
- 出向規程
- 旅費規程
- 慶弔見舞規程
- 育児休業規程
- 介護休業規程
⑤経理関連規程
- 経理規程
- 勘定科目処理要領
- 小口現金決裁要領 決済
- 固定資産管理規程
- (連結)決算要領
- 原価計算規程
- 有価証券管理規程
- 貸付金規程
- 出張旅費規程
⑥業務関連規程
- 仕入(購買)管理規程
- 外注管理規程
- 販売管理規程
- 与信管理規程
- 債権管理規程
- 棚卸資産管理規程
- 内部監査規程
- 予算管理規程
- 企業秘密管理規程
- 工業所有権管理規程
- 個人情報管理規程
- 安全衛生管理規程
- 関係会社(子会社)管理規程
⑦監査/コンプライアンス規程
- コンプライアンス規程
- リスク管理規程
- ハラスメント対策規程
IPOにおける社内規程の10個のチェックポイント

社内規程の整備と運用は、上場審査の過程において監査法人や証券会社から適切に実施されていることの確認が求められます。具体的には以下の点が主なチェックポイントとなります。
- 規程は自社の業務実態に適合しているか
- 規程間の整合性はとれているか
- 規程は法令等に抵触していないか
- 運用実績は帳票、証憑等によって確認できるか
- 各規程の管理責任及び担当部門が明確になっているか
- 規程の制定、改定、廃止の時期及び原因(理由)が記録されているか
- 規程の改廃の手続きは機関(取締役会や委員会等)で決定されているか
- 従業員には周知徹底され、必要な規程はいつでも閲覧できるようになっているか
- 定期的な見直しがなされているか
- 規程で定められている各担当の責任と権限の範囲が適切か
社内規程は定期的な見直しが必要
社内規程は一度作ってしまうと、その後は十分な見直しや更新がおろそかになりがちです。定期的な見直しやチェックが行われないと、最新の法令に適合していないことや、業務の実態と乖離が生じていたりすることで、結果として社内規程が形骸化し会社に大きなリスクを与えることとなります。
まとめ
社内規程は企業活動の永続性や効率性を担保し、企業のあるべき姿を社内外に示すエビデンスです。昨今は上場企業や大企業のみならず、中小企業やスタートアップ企業にも内部統制が求められる時代です。しっかりとした準備をし、上場に向けて進んでいただければと思います。