育児介護休業法改正の疑問に答えます 「意見聴取の方法は?」など(第4回)

社会保険労務士の北 光太郎です。
2025年育児介護休業法改正の施行が、いよいよ迫ってきました。
皆さん、準備は順調に進んでいるでしょうか?
「法改正内容は分かったけど、具体的な対応のイメージがつかない」「似たような単語が多く混乱している」という方も多いのではないでしょうか。
2025年育児介護休業法改正について、人事労務担当者が抱える20個の質問について、全4回の記事で回答します。皆様の業務のご参考になれば幸いです。
第1回 育児介護休業法改正Q&A 「就業規則の修正箇所は?」「規定例は?」 第2回 育児介護休業法改正Q&A 「労使協定は見直す?」「意向聴取や配慮とは?」 第3回 育児介護休業法改正Q&A 「介護に関する個別の周知や意向確認とは?」 第4回 育児介護休業法改正Q&A 「意見聴取の方法は?」 |
Q15「始業時刻等の変更」について、決まりはある?
始業終業の時刻の変更範囲について一律の制限はありませんが、保育所への送迎の便宜などを考慮して通常の始業終業時刻を繰り上げ・繰り下げる制度である必要があります。
また、始業時刻等の変更で「フレックスタイム制」と「始業終業時刻の変更」のどちらも選べる制度を設けた場合は、措置を2つ設けたことにはなりません。
柔軟な働き方を実現するための措置の「始業時刻等の変更」とは、所定労働時間を変更しないことを前提とする「フレックスタイム制」と「1日の所定労働時間を変更することなく始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度」のいずれかを指します。
そのため、フレックスタイム制と始業終業時刻の変更の措置を設けたとしても、2つの措置を設けたことにはなりません。
参考:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A」
Q16 新たに付与される休暇(10日/年)とは?
新たに付与される休暇(10日/年)は、3歳以上小学校就学前までの子を養育する労働者が対象です。
休暇の取得日は労働者が労務を提供しないため、無給でも問題ありません。ただし、企業独自に法を上回る措置として有給とすることは差し支えありません。
参考:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A」
Q17 育児短時間勤務制度の代替措置の「テレワーク」や「ベビーシッター手配」とは?
「テレワーク」は一般的に「労働者が情報通信技術を利用して行う事業場外勤務」を指します。ただし、事業主が認める場合には、サテライトオフィス等において行われることを含みます。
「ベビーシッター手配」とは、ベビーシッター派遣会社と事業主が契約を締結し、労働者からの希望に応じて事業主がベビーシッターの派遣の依頼を行うものです。また、ベビーシッター派遣会社に労働者が直接派遣依頼をすることも「ベビーシッター手配」に含まれます。
参考:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A」
Q18「柔軟な働き方を実現するための措置」について、施行日(令和7年10月1日)までに意見聴取は必要?
事業主には、令和7年10月1日の施行日より「柔軟な働き方を実現するための措置」を講ずる義務が生じます。
そのため、施行日より前に過半数労働組合がある場合は労働組合、過半数労働組合がない場合は過半数代表の意見を聴く必要があります。
参考:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A」
Q19 意見聴取の方法(面談・書面・メール等)に決まりはある?
意見聴取の方法について、法令上の定めはありません。しかし、過半数労働組合等を通じて、柔軟な働き方を実現するための措置を講じるためにも、丁寧にコミュニケーションを取り、労働者のニーズを適切に把握することが重要です。
意見聴取と並行して、より適切な措置ができるよう、育児当事者である労働者からの直接意見を聴取したり、アンケート調査を実施したりなどできるだけ多くの声を聞くことが望ましいでしょう。
参考:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A」
Q20 意見聴取を行った結果、労働組合の意見に応えることが難しいときは?
労働者の意向を十分に検討したうえであっても、事業の性質などから労働組合から聴取した意見に沿えないようなこともあるでしょう。その場合は、労働組合と丁寧にコミュニケーションを取り、その判断に至った事情などを十分に説明することが求められます。
説明する際は、その判断に至った経緯や理由を明確にし、十分検討したことが伝わるように対応しましょう。また、今後も定期的に意見交換の機会を設けることを示すなど、対話の姿勢を維持することが大切です。
参考:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A」
キテラボ編集部より
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※育児・介護休業法改正の内容については、下記の資料(23ページ)でまとめています。合わせてご確認ください。

2025年施行 育児介護休業法改正
この資料でわかること 2025年4月1日施行の改正内容 2025年10月1日施行の改正内容 雇用保険法の改正内容 企業の対応が必要なこと 出生後休業支援給付金の紹介 など 2025年の育児・介