ハローワーク求人の掲載方法は?掲載料金や掲載期間、応募連絡後の対応などを解説【前編】

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松本 幸一

社会保険労務士の松本 幸一です。

私はハローワークの正職員として職業紹介等の業務に従事し、ハローワークの業務に精通しています。今回は、ハローワーク求人をテーマに以下の2本立てで解説します。

前編にあたる本記事ではハローワーク求人掲載の申込みが初めての方に向けて、ハローワーク求人掲載の全体像、申込みに必要な書類等について解説します。

後編の記事では、既にハローワーク求人掲載の申込みをされている方に向けて、より求職者の目に留まる求人票の書き方や、求人票にこんなことを書いてもいいの?といった疑問にお答えするなど、ハローワーク求人をより活用するためのポイントを解説します。

ハローワーク求人とは

ハローワークでは求職者への職業紹介、その紹介先となる求人の受理、また雇用保険手続きや新卒学生・障がい者雇用の支援等を行っています。

今回はその中で求人の受理、その後の職業紹介にスポットを当て、ハローワーク求人掲載について解説していきます。

ハローワーク求人の掲載料金

ハローワーク求人の掲載料は無料です。

ハローワークは正式には公共職業安定所と言い、厚生労働省の出先機関である都道府県労働局が運営している国営の機関です。

そのため、就職を希望する求職者が無料で利用できることはもちろんのこと、求人を掲載する求人者も無料で利用できます。

ハローワーク求人の掲載期間

ハローワーク求人の掲載期間は求人申込が受理された月の翌々月末日までです。

そのため、月初に求人申込を行った場合は約3カ月間、月末に求人申込を行った場合は約2カ月間継続してハローワーク求人が掲載されます。

上記の掲載期間中、求職者はハローワーク内に設置されている求人検索パソコンやハローワーク内の掲示、またパソコンやスマートフォンからハローワークインターネットサービス上で求人を閲覧できます。

なお、応募がない、もしくは採用に至らず掲載期間が経過した場合、同じ内容で、もしくは一部変更のうえ再度掲載が可能です。有料の求人媒体を活用する場合に比べ、どれだけの期間掲載するかに悩む必要がないのは嬉しいポイントですね。

なお、再度の掲載にあたり電話連絡で済むか、別途紙面の送付等が必要になるかはハローワークにより取扱いが異なりますのでご留意ください。

ハローワーク求人掲載を活用する3つのメリット

【1】掲載料金が無料

既にお伝えした通りですが、ハローワークで求人する1番のメリットはなんといっても掲載料が無料であることです。

一般の求人媒体への求人情報掲載にかかる費用がアルバイトの募集でも数千円~、正社員等の中途採用となれば数十万円~が相場である中、無料で掲載できるのは嬉しいポイントです。

【2】助成金が活用できる

厚生労働省が実施する助成金の中には、次のようにハローワーク紹介が条件となっているものがあります。

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、雇用保険の被保険者として雇入れた場合に対象となる助成金です。

特定求職者雇用開発助成金について詳しくはこちらをご覧ください。

(参照)特定求職者雇用開発助成金リーフレット|厚生労働省

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、就業経験が不足する求職者をハローワーク求人にて試行期間(トライアル期間)を設けて採用し、その期間中に適性等を見極めた上で雇用期間の定めのない雇用へ移行した場合に対象となる助成金です。

トライアル雇用助成金について詳しくはこちらをご覧ください。

(参照)トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)リーフレット|厚生労働省

【3】窓口担当者の情報提供や、職業訓練校への情報提供など

ハローワークでは一般的に次のような形でハローワーク求人を求職者へおすすめしています。

・求人を新着、業種別等でファイリングし求職者がいつでも閲覧可能に
・ハローワーク内掲示板に新着求人、業界特集などで掲示

上記に加え、ハローワークにより取り組み状況、方法は様々ですが、次のような方法でおすすめをしていることもあります。

・窓口担当者から個別支援対象となっている求職者へマッチング求人情報の提供
・職業訓練校(ハロートレーニング)実施校へ訓練内容に関連した求人情報の提供

このように、ハローワークでは求人情報を掲載するだけでなく、個別に求職者へのおすすめも行っています。
求職者へのスカウトメール等のサービスに別料金を設定している求人媒体もあることを考えると、無料でここまでのサービスを受けられるのは国営であるハローワークの大きなメリットです。

エージェントの利用を希望しない求職者もいる

ハローワークと比較されることの多いサービスとして、転職エージェントと呼ばれる転職支援会社の提供する就職支援サービス(以下、エージェントと言います)があります。

これらのエージェントでは、求職者を求人者に紹介し、採用となった求職者の年収額の30%程度の成功報酬が設定されていることが多いです。

そのため、エージェントでは求人者での採用見込みが高い求職者に絞ってサービスを提供することになりますが、それがエージェントのビジネスである以上当然である点がハローワークと大きく異なります。

その一方で、エージェントの利用に抵抗を感じる求職者がいることも事実です。高いスキルを持ちつつも、自分のペースで応募を進めていきたい、履歴書・職務経歴書の添削や面接対策を受けたいという意向が強い場合、ハローワークのほうが自分にあっていると感じる求職者も存在します。

ハローワーク求人の掲載手順

ハローワーク求人を掲載する手順は次の通りです。

【1】事業所情報の登録
【2】求人情報の登録
【3】求人情報の公開

順に解説します。

【1】事業所情報登録シートの提出(初回のみ)

初めてハローワーク求人掲載を申込む場合のみ、事業所情報登録シートの提出が必要です。

記入例にならって事業所登録シートに事業所名や事業内容等の必要事項を記入のうえ、次に解説する求人申込書と併せて管轄ハローワークの求人窓口に提出します。

記入例


(引用)事業所登録シート記入例|大阪ハローワーク

事業所登録シートの様式はこちらをご覧ください。
(参照)事業所登録シート|ハローワークインターネットサービス

【2】求人申込書の提出

記入例にならって求人申込書に職種や給与、必要な経験・資格等の必要事項を記入のうえ同じく管轄ハローワークの求人窓口に提出します。

記入例


(引用)求人申込書 記入例|大阪ハローワーク

求人申込書の様式はこちらをご覧ください。
(参照)求人申込書|ハローワークインターネットサービス

【3】求人の公開

求人申込書が受理された後、記入内容に不備、法令違反がないことが確認されれば受理の翌々月末日まで公開されます。

参考 ハローワークインターネットサービスでの求人掲載手順

従来は事業所情報登録シート、求人申込書のいずれも書面のみの取扱いでしたが、ハローワークインターネットサービスを利用し、オンラインでの求人申込が可能です。

ただし、初めてハローワークインターネットサービスを利用する場合のみ、事業所情報・求人情報の仮登録を済ませた上、管轄ハローワークの求人窓口への来所が必要です。

2回目以降は来所することなくハローワークインターネットサービス上で求人申込、事業所情報・求人情報の変更が可能となります。

<補足>

管轄のハローワークで運用が異なる場合もありますので、ハローワークインターネットサービスでの事業所情報・求人情報等の仮登録手順・操作方法について、こちらもご覧ください。
(参照)求人者マイページからの事業所登録・求人申込み(仮登録)方法について|ハローワークインターネットサービス

ハローワーク求人の選考の流れ

(1)求職者からの紹介申込み

求人申込書が受理されると、ハローワーク内の求人検索パソコン、ハローワークインターネットサービス上で求職者が求人を閲覧できるようになります。

気になる求人が見つかったら、ハローワークの紹介窓口、もしくはハローワークインターネットサービス上で紹介を希望します。

(2)ハローワーク担当者からの応募連絡

窓口での応募の場合、紹介担当者から求人者の担当者へ応募希望の求職者が来所している旨連絡があります。

担当者が不在でない限り、この場で応募書類を送ってもらう旨を伝える、もしくは面接からのスタートであれば日時設定を行います。

(3)選考実施・結果通知

他の募集の場合と同様に選考を行い、その結果を求職者・ハローワーク双方へ連絡します。

窓口での応募の場合、求職者が紹介状を持参しますので、選考結果や採用日、採否の理由などを記入し紹介担当者あて送付、もしくは求人者マイページから通知します。

(参照)ハローワークの紹介状|東京マザーズハローワーク

また、求職者からの応募がハローワークインターネットサービスの求職者マイページからの応募の場合、求職者への選考結果もハローワークインターネットサービスから通知可能です。

社会保険労務士の松本 幸一からのワンポイント

実はハローワーク以外にも無料で利用できる求人媒体があります。
ここからはその中でも特に知名度の高いIndeedをピックアップし、ハローワーク求人掲載と比較検討してみます。

Indeedとは?

Indeedとは、アメリカに本社を置き、その日本法人であるIndeed Japan 株式会社が運営する求人サイトです。

Indeed Japan株式会社は2012年にリクルートホールディングスに買収されて以降、現在まで引き続きリクルートグループの傘下企業となっています。

Indeedが無料で利用できるのはなぜ?

リクルートグループの傘下企業が運営するIndeedサービスですが、なぜ無料で利用できるのでしょうか。

その理由は、Indeedの有料サービスへの誘導を目的とした、いわゆるお試しサービスとして提供されているからだと私は考えています。

無料プランと有料プランの違いは?

Indeedでは有料プランで掲載される求人を「スポンサー広告」と呼び、無料プランで掲載される求人に比べ求職者の目に留まりやすくなっています。

・求人検索で上位に表示されやすくなる
・一定数以上の閲覧数条件を満たすと注目企業として露出度が高まる
・求人へのアクセス分析を利用できるため、求職者からのアクセスデータに基づいた求人情報のブラッシュアップが可能になる など

有料プランの料金はいくら?

有料プランの方がメリットが多いことはすでにお分かりいただけたと思いますが、有料プランを検討するにあたって気になるのはやはりその料金です。

Indeedは「クリック課金型」を採用しており、クリック課金型とは「求人ページの閲覧数×クリック単価(数十円~数百円)」で利用料金が決定されるものを指します。

クリック単価は業界、職種、採用ポジション(管理職など)、エリア等によって異なります。

まずは無料プランでの利用がおすすめ

簡単にではありますが、無料プランを中心にIndeedのサービスについて紹介しました。
ハローワークの求人掲載とはサービスの前提が異なるため単純にどちらが良い、悪いと判断できるものではありませんが、ハローワークや他の求人媒体との併用を含め一度利用してみることをおすすめします

松本 幸一
さいわい人事労務事務所 社会保険労務士
TOP実務の手引き

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